今回は、無垢フローリングやDIYでの家具作りなどで使える木材のへこみの補修の方法を紹介します。
ついうっかり、
「物を落としてしまった」
「なにか物にぶつけてしまった」
など木材をぶつけてへこましてしまうことはどうしても発生してしまいます。
そんなとき、木材はちゃんとした方法で補修をすれば、へこんだ後が完全になくなるまで直すことができるんです。
先に方法をご説明しますが、だいたいの自宅にはある洋服のしわを伸ばすアイロンを使えばびっくりするぐらい簡単に直すことができます。
ではアイロンを使用して木材のへこみを直す補修を実際に試して解説をしていきます。
検証する材料にナラ、杉、スプルースを使用
今回木材のへこみを直す検証をするのに3種類の特徴の違う木材を準備しました。
写真の上から、
ナラ、スプルス、杉となっています。
ナラは別名オークとも呼ばれます。
主にフローリングや家具、建具で使われる材料で木の硬さは硬い部類の材料になります。
今回は硬い木材代表として使用します。
スプルスと聞いてピンと来る人は少ないかもしてませんが、
SPFという材料名ならDIYをやる方であれば聞いたことがあるでしょう。
SPFとはスプルス、パイン、ファーの3種類を広義に読んでいます。
そのSPFの中のスプルスです。
といっても今回準備したスプルスは、ホームセンター等で扱っている商品ではなく、木工所にある建具の材料として扱っているグレード高い商品を準備したので実際にホームセンターに売っているSPFとは少し見た感じに違いがあると思います。
スプルスはDIYに使用する材料の代表として準備しました。
杉は多くの空気を含んでいるため、とても柔らかい木材です。
価格が安価という点からもDIYにも使用される場合もあれば、障子や羽目板など幅広く使用されています。
フローリングに使用すると柔らかいので素足で歩くのに適している材種として挙げられます。
杉は柔らかい材料の代表として準備しました。
紹介したこの3種類(ナラ、杉、スプルス)を今回はへこみませて実際に直していきます。
3種類の木材をへこませます。
へこみの検証をするのに、トンカチで木材を叩いてへこませていきます。
結構な力で叩いたので大きくへこんでいます。
ただ、ナラ材は、杉やスプルスに比べて硬いのでへこみが少し小さくなっています。
それと、今回はトンカチだけでなく、せっかくの検証なので、ドライバーの先端で木材を刺したへこみも作ってこちらも直せるかやってみようと思います。
アイロンによるへこみ補修に準備するもの
- アイロン
- ウエス(タオル)
- ヤスリ
- 必要であれば塗料
今回は水にぬらしたタオルにアイロンを当てて直す方法になります。
なので、アイロンと、タオルは必需品になります。
また、表面を濡らしたりするので、木の表面が荒れてしまいます。
なのでヤスリを準備しましょう。
番手は180番前後でいいです。
ただ、フローリングなど塗装して最後の仕上げまで完全に終わらすなら320番か400番も準備しておきましょう。
塗料は、もともと塗っている材料なら準備しておき最後にヤスリで表面を整えてから使用しましょう。
塗料によってはアイロンによる補修方法が使えない場合があるので、注意してください。
ウレタン塗装などの膜を作る塗料ではアイロンによる補修はできない
今回は無塗装の材料で補修をしますが、フローリングや家具などを補修する場合はほとんどの場合塗料が塗られています。
塗料の種類によってアイロンを使用して補修する方法ができるできないがあるので注意してください。
アイロンによる補修ができる塗料は、自然塗料やオイルなどの木材に浸透する系の塗料です。
反対に補修できないのが、ウレタン塗装やなどの木材の表面に幕を作るような塗料は使用できません。
ウレタン塗装などにこの方法を使用すると塗膜が剥がれたりして、代えて木材に悪影響があります。
といって、ウレタン塗装にアイロンの補修を実際にやってみたことはありません。
なので今回は検証する3種類の無塗装材とは別でウレタン塗装の材料をわざとへこませてアイロンによる補修もやってみようと思います。
フローリングは無垢材のみ使える
木質系のフローリングにはシートなどを表面に張った複合フローリング。
表面だけに無垢材を張った突板フローリング。
そして無垢材を使用している無垢フローリングがあります。
┗無垢フローリングのメリット、デメリット、無垢の良さを元現場監督が徹底解説
そのなかでも、アイロンを使用した補修方法が使用できるのは無垢フローリングのみです。
なぜなら、今回のアイロンを使用した方法は、木材の繊維がへこんでいるので、その繊維を水とアイロンで繊維を再び膨らまして直すという方法なんです。
なので、無垢以外のフローリングは表面がシートだったり、フローリングの中が木でなかったりするのでアイロンを使用した方法が使えないのです。
なので、アイロンで直す方法で使用できるフローリングは無垢フローリングだけです。
かつ自然塗料の浸透系の塗料を使っているフローリングになるということです。
へこみの直し方1. へこみに水を付ける
では3種類の木材を直していきます。
直し方の手順としては、まずタオルを水に濡らしてへこんでいる部分に当てて良く木材を濡らします。
ウエスは絞り過ぎないぐらいがいいです。
薄く濡らすよりびちゃびちゃに濡らして、木が水を吸うようにさせます。
この水を濡らす意味は、木材のへこんだ繊維を水に含ませて膨らませているのです。
なので、この後にアイロンを当てますが、少しのへこみぐらいなら水を付けただけでもいい感じに膨らんできます。
へこみの直し方2. へこみにアイロンを当てる
ここからアイロンを当てていきますが、事前にアイロンの温度はMAXにして温めておきましょう。
また、アイロンの機能はスチームでなくドライで使用します。
では、アイロンを木材に当てていきますが、その前に濡らしたタオルをへこんでいる部分に当ててその上からアイロンを当てます。
そうすると「じゅーー」と水が蒸発している音が聞こえると思います。
この時、木はどんどんへこみんだ部分が膨らんで直っていっています。
この水に濡らしたウエスを当ててアイロンを使用する方法の意味は、
へこんだ部分に水を膨らませるは先ほどの水を付けただの時と同じですが、アイロンを当てることによって、その水が蒸発して、蒸発と一緒にへこんだ部分が膨らむということです。
なので、濡らさずアイロンを当てるだけでは全く意味がありません。
しっかり水を付ける必要があります。
また、この時アイロンを直接木材にを当て続けると木材が焼けてしまう場合があるので、必ず濡らしたウエスの上からアイロンを当てましょう。
アイロンを当て終わった状態がこちら
上の写真がアイロンを使用後でしっかりと材料が乾いた後です。
へこました時の写真と見比べてみてください。
特に杉は柔らかいので大きめにへこんでいましたが、しっかりへこみが浮き上がって直ってきているのが分かりやすいと思います。
へこみの直し方3. ヤスリで表面を整える
へこみが直ったら木材の表面を整えましょう。
上の写真がヤスリを掛けた後の状態です。
写真だと非常に分かりにくいかもしれませんが、水に付けてアイロンでへこみを直しただけだと若干直らなかったへこみや水に濡らしたことによる木材の表面が荒れていました。
それが、ヤスリを掛けることでへこませる前と同じ状態まで戻すことができました。
アイロンで直すときのヤスリの選び方
ヤスリには番手が存在します。
小さい番号ほど荒いヤスリで、高い番号ほど細かいヤスリとなっています。
そこで最初は180番がいいでしょう。
これより荒いとヤスリの傷が木材についてしまう可能性があります。
180番でやすると表面がさらさらすると思います。
また、直りきらなかった多少のへこみならば、180番のやすりを使用すれば消すことも可能です。
DIYの途中等であればこれで完了ですが、フローリングや家具などは仕上げに320番か400番で仕上げると180番に比べてよりサラサラしさ肌触りに仕上げることができます。
へこみの直し方4. 塗装品なら再度塗装をしましょう
フローリングや家具ならもともと塗装がされているはずです。
なので、最後に塗装をして仕上げます。
自然塗料の場合クリアであれば同じ商品の自然塗料でなくてもほとんど違和感がなく塗ることができます。
ただし、オーク色やウォールナット色など色が付いているとメーカーによって色合いが違うのでしっかりと調べてから塗装しましょう。
調べる方法としては、購入した時の住宅メーカーの営業などに聞くでもいいと思います。
それか、竣工時の完成図面があるのであれば、仕様書(お家に使用されている商品の一覧が記載された図面)に載っているのでそちらを探してみましょう。
図面があれば、仕様書にフローリングの商品名が記載されているはずです。
そしてその商品を扱っているメーカーを調べればだいたいは塗料が何なのか分かります。
塗料によってはネットで小瓶サイズでも売っているので、部分的な補修なら少量でいいでしょう。
良く使用されている自然塗料は「リボス:と「オスモ」という塗料が多いです。
下から詳しくはご確認ください。
ドライバーの先端によるへこみは直るのか
へこみと一緒に付けたドライバーの先端のへこみもアイロンを使用してどこまで直るのか結果を見てみたいと思います。
最初ははっきりと、+ドライバーの跡が付いていましたが、少しだけ木が膨張して塞がってはいます。
しかしこの写真の状態が限界でした。
この結果だとさすがに直ったとは言えません。
なので、ドライバーによるへこみはアイロンでは直らないという結果になりました。
できないといわれるウレタン塗装の木材をアイロンで補修してみた
ウレタン塗装は表面に膜を張るのでアイロンでの補修はできないと説明しました。
おそらくどこのサイトを見ても同じことを書いているはずです。
でも、あえて一度挑戦してみます。
用意したのは以前使用していた我が家のダイニングテーブルの木っ端です。
表面がウレタン塗装になっています。
では実際に水に濡らして、さらにアイロンを当ててみます。
写真を見て分かると思いますが、補修は失敗です。
へこみが直っていないですし、ウレタン塗装がふやけて表面が白っぽくなってしまいました。
よって、ウレタン塗装は予想通りアイロンによるへこみ補修はできませんでした。
ウレタン塗装でもへこみを直す方法
ではウレタン塗装のフローリングは直すことができないのかというと、
少し手間がかかりますができます。
そもそもなぜウレタン塗装がアイロンで補修できないかおさらいすると、
ウレタン塗装のフローリングは表面のウレタンの塗装膜が木材の含んだ水を蒸発できないからアイロンが使用できないのです。
なので、ウレタン塗装の膜を一度剥がして補修をすればいいのです。
ウレタンの膜を剥がすのにはヤスリで落とす方法が一番いいです。
できれば電動サンダーを使用した方がムラがなく楽に落とすことができます。
┗【ランダムサンダーのオススメ】木工職人が選んだボッシュのGEX125-1AE
100番か120番の荒いヤスリでウレタンの膜を剥がしましょう。
そしたら、今までと同じで水を付けてアイロンで補修を行うことができます。
最後に再度ウレタン塗装をするのですが、
通常フローリングや家具などのウレタン塗装はスプレーガンを使用し塗料を吹き付けして塗装をしています。
しかし、一般家庭では吹き付けはできないので、ホームセンターなどでウレタン塗装の塗料を購入し、ハケで塗装をします。
実際に塗る前に部屋の目立たない部分やフローリングのサンプルをもらうなどして試し塗りをして仕上がりを確認してから塗る方がいいでしょう。
一度ウレタンの膜を剥がして補修をして再度塗装をすればウレタン塗装のフローリングでも補修ができるというわけです。
木材のへこみをアイロンで補修する方法:まとめ
今回は硬い材料のナラ、柔らかい材料の杉、DIYで使用するSPFのスプルスと種類の違う3種類の木材でへこみを直す補修を試してみました。
結果は結構な大きなへこみでもアイロンを使用してやすりで仕上げればへこみは消せるということが検証してご理解していただけたと思います。
このように、木材は多少のへこみなら簡単に直るので、ご自宅の無垢フローリングやDIY中の家具などへこましてしまっても落ち込まず適切にご自身で補修をしてみましょう。