- DIYで鉋を使えるようになるための鉋台下端の調整方法が分かる
- 専用の道具がなくても調整ができる方法を紹介
- 鉋台の調整の必要性がわかる
鉋をDIYでやってみて、最初に重要視するのが刃を上手く研げるようになることではないでしょうか?
ですが、鉋は刃が上手く研げるだけでは上手く材料を削ることはできないんです。
なぜかというと、しっかり研いだ刃でもその刃が当たる部分の鉋台がゆがんでいると上手く材料に刃が当たらず材料を削ることができないからです。
そして、面白いことに鉋台の下端はただ平らにすればいいというわけではないんです。
削る場所と削らず残す場所があり、鉋台の調整は刃を研ぐのと同じくらい重要なことになります。
今回はそんな、DIYで鉋を使用する方のために簡単に鉋台の下端を調整する方法を解説して紹介していきます。
この記事では、「本格的な方法というよりもなるべくDIYで簡単に鉋を使えるように」を心掛けているので、「台直し鉋」という台を調整するための鉋を使用しない方法で紹介していくので是非見てみてください。
DIYで鉋を使用するための解説記事は他にもありますので一緒に読んでみてください。
┗DIY初心者でも分かる鉋の基本知識と使い方
┗コツされ理解すれば意外と簡単 鉋の刃の研ぎ方を解説
実際に鉋掛けをしているところをYouTubeで公開しました。
鉋を使用する参考にしてみてください。
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鉋台の下端調整とは?なぜ調整するのか?
鉋は刃が切れる状態に研げるようになれば十分だと思っていませんか?
実は、鉋の刃と同じくらい重要なのが鉋台の下端の調整になります。
では「鉋台下端の調整とは何だ?」ということですが、
簡単に言うと、鉋を削るときに鉋の刃が上手く材料に当たるように鉋台下端を調整することを言います。
ここで言う調整とは、台直し鉋という台を調整する専用の鉋や、ノミ、サンドブロックなどを使用して鉋台下端を削って調整をすることを言います。
この鉋台の下端の調整ができていないとどうなってしまうかというと、
例えば、鉋台の下端を上手く調整されていないとせっかく切れるように研いだ刃も、上手く材料に当たらず削ることができません。
また、鉋台が傾いていると、刃が材料に当たる厚さが左右で違いが出て、材料を削る時の厚さが鉋の刃の左右で違いが出てしまうなんてこともあります。
ようは、鉋はちゃんと切れる刃で、かつその切れる刃が適切に削る材料に当たることが必要不可欠ということになります。
鉋台下端の調整ができるようになるために覚えてほしい3つのこと
これから、鉋台の下端の調整方法を解説していきますが、大きくは3つのポイントを意識して覚えてください。
- 鉋台下端の削る場所削らない場所を覚える。
- 台下端の削り方を覚える
- 台下端の状態を確認するために、定規を当てて見る方法を覚える
大きくはこの3点ができるようになれば鉋台の下端の調整はできます。
なので、この3点を意識して記事の続きをぜひ見てください。
鉋台の調整に準備する道具
- 鑿(ノミ)
- 平らなサンドブロック
- ヤスリを張り付ける平らなもの(ガラスや合板など)
- 下端定規、なければステンレスの直尺でも代用可
鑿(ノミ)
ノミは台の下端を削るのに使用します。
今回はDIYで台直し鉋を持っている人はおそらくいないと思うので、台直し鉋を使用しない方法で紹介していきます。
なのでその代用品という扱いでノミを使用します。
もちろん台直し鉋があれば台直し鉋を使用してください。
もし、DIYを始めたばかりで鉋は買ったけど、ノミは持っていないという方は無理をしてノミを買う必要性はありません。
台直し鉋、ノミがなくても、サンドペーパーだけでもとりあえず鉋台の調整はできます。
ですが、ノミを持っていると何かと便利なので安くてもいいので2,3本サイズの違うノミを持っていてもいいとも思います。
平らなサンドブロック
サンドブロックとは、紙やすりを端材などに巻き付けて削る道具のことをいいます。
しかし、端材に巻き付けるだけや、マジックテープ式などの方法のサンドブロックはどうしても削る部分がへこんで多少なりとも丸みが出てしまい、平らに削ることができません。
なので、今回準備するのは、合板などに瞬間接着剤で紙やすりを張り付けた表面が平らなサンドブロックです。
これは、簡単に作れるのでご自身で作成して準備してください。
作り方は下記の記事で詳しく解説をしています。
今回の鉋台の調整に使用するサンドブロックの紙やすりの番手ですが、
基本は180番でいいでしょう。
サンドブロックは台直し鉋やノミなどで削った後の仕上げで使用します。
ただ、台直し鉋やノミがない方は100番もしくは120番の少し粗目のサンドブロックを準備しましょう。
なぜなら、台直し鉋やノミの代用でサンドブロックを使っていくので、180番だとなかなか鉋台の下端が削れずに大変です。
なので、荒めの100番もしくは120番で調整した後に180番で仕上げるようにします。
ヤスリを張り付ける平らなもの(ガラスや合板など)
何かした平らないものを準備しておきましょう。
そして、そこにヤスリを張ります。
これで、鉋台の下端全体を削ることで台の下端を一度均一に平らにすることができます。
なので、なるベく平らなものにヤスリは張るようにしましょう。
後で詳しく説明していますが、鉋台の下端を調整するときは一度平らに全体を調整してから削った方がやりやすいので準備することをオススメします。
下端定規なければステンレスの直尺でも代用可
下端定規とは水平が出ている定規のことです。
下端定規を使用して鉋台の下端の調整具合を確認します。
ただ、この記事を見ている方は下端定規はおそらく持っていないのではないでしょうか?
そういう私も持っていません。
そして下端定規はとても高価な定規です。
しかも水平を確認するためだけの定規なのにです。
上の写真の商品は6000円以上します。
なので、別に無理して下端定規を購入する必要は全くないので代用品を準備しましょう。
そこてお手頃なのが、ステンレスの直尺
私が使用しているのは一般的な30㎝の物になります。
正直この直尺を定規として使えば十分です。
しかも直尺なら、水平を見る以外にも、普段から寸法を測ったりなどでも使えるのでDIYでは一本持っていた方が便利です。
なので今回は直尺を使用して解説をしていきます。
鉋台の下端調整によく使う用語
台直し鉋
台直し鉋とはその名の通り鉋の台を直すために使用する鉋です。
つまり鉋の為の調整鉋なんです。
台を調整するときだけしかほとんど使用しません。
台直し鉋の特徴は、通常の鉋と違い刃が垂直に取り付けられていることです。
これは台を直すのに切るように削るのではなく、ガリガリ削り落とすように使用するので垂直に刃が取り付けられています。
DIYでは鉋を始めて買ってみたのに、鉋を使用するためにまた鉋を買うのかと思いますが、安心してください。
この記事では台直し鉋を使用しない鉋台の調整方で紹介していきます。
鉋台下端
鉋台の下端とは、上の写真のように鉋の裏側のことです。
削る材料が当たる部分になります。
なので、下端の面を調整することで上手く削れるように調整をする必要があるということです。
刃口
刃口とは鉋の下端の面にある刃が出てくる位置のことです。
鉋台の調整では刃口部分の精度が実際に材料に刃が当たり加減が変わる非常に重要な位置になります。
なのでこれから何度か「刃口」という単語が出てきますので覚えておいてください。
鉋台を調整するのに覚えていてほしいこと
鉋台に刃はセットしたまま調整する
「鉋の台を調整するのに、刃は使わないから抜いておこう」は間違っています。
鉋台に刃は付けたまま調整をしていきます。
なぜかというと、鉋台は刃が付くことで多少なり反りや下端の状態が変わってきます。
なので、実際に使用するときの近い状態になるべくして削るなどの調整をします。
しかし、実際に刃を出してしまうと調整中に刃を痛めてしまうので、刃を少し引っ込めた状態で鉋台の調整をします。
鉋台の調整をするときは必ず刃を付けたまま調整をすること。
鉋台の下端の見方
直尺を使用して鉋台下の状態をチェックしていくわけですが、見方は写真のように鉋を逆さにして定規を当てながら確認をします。
上記の写真は分かりやすいように作業台の上で定規を当てていますが、
実際は鉋に定規を当ててライトや日なたの明るい方へ向けて光の差し込み加減で定規に当たっている場所やへこんでいる場所で確認します。
鉋は非常に微妙な加減で調整をします。
なので、直接目で確認しにくいような微妙なへこみをこのように光の差し加減で判断をするのです。
とはいっても、最初だけ慣れないと難しいかもしれませんが、やってみれば意外と簡単なので諦めずやってみましょう。
鉋台下端の目指すべき状態
では鉋台の調整方法を解説していきますが、その前に目指すべき鉋台下端の状態を学びましょう。
鉋台を削る場所はここ
鉋の台は簡単に説明すると、上記の写真のように鉋の刃先のところと、台尻といって鉋台の手前側の2点が削る材料に当たるようにします。
そして、それ以外の場所は削り落として材料に当たらないようにします。
それ以外の部分が材料に当たってしまうと上手く刃が材料に当たりません。
なので、この2点が材料に当たるように調整をします。
仕上げ用鉋など、より薄く削るなどの場合は台頭も材料に当たるようにし3点で支えるようにします。
しかし今回はDIY用なので2点が材料に当たるやり方で進めていきます。
定規を当てて確認する位置はここ
削って調整をしていく中で上手く削れているか確認するときは上の写真の黒線の位置で定規を当てて確認をします。
- 斜めで見るのを忘れないこと。
- 実際に材料が当たる刃口部分と、台尻部分を見ること。
- 刃口部分は丸く削ったり斜めに削ってしまうと上手く材料に刃が当たらないので慎重に確認すること。
鉋台の調整の仕方 1.鉋台を一度平らにする
鉋の台を調整するには、まず下端の面を平らにした方がやりやすいです。
なので、おもいきって全体を一回平らにするために全体を削りましょう。
平らにするには、平面の出たものにヤスリを張り付けたものを準備して全体を削って平面を出します。
そして平面の状態から次の工程で削り落とす部分だけを削っていきます。
鉋台の調整の仕方 2.削る場所を墨付けする
いったん平らにしたら、削る場所を鉛筆などで印を付けていきましょう。
鉛筆で一度書いてから削ればどこが削れていないかすぐに分かります。
なので、
鉛筆で印付け→印を削る→定規で確認→鉛筆で印付け→…
このパターンを繰り返していけば非常に簡単に調整ができます。
台下端の削る場所、残す場所は刃口と台尻の2か所です。
詳しくは『台下端の目指すべき状態』の見出しの内容を再度確認しましょう。
印付けの2回目以降は定規を当てて確認した時の削りが足らない場所に再度印を付けるなどして部分部分で少しずつ調整をするのがいいでしょう、
鉋台の調整の仕方 3.ノミもしくは粗目のサンドブロックで削っていく
削る場所の印付けが終わったら、実際に削っていきます。
今回は台直し鉋を使用しないで調整をするということなので、ノミもしくは平らなサンドブロックで削っていきます。
ノミとサンドブロックならどちらかといえばノミの方がやりやすいです。
ただ、ノミを持っていない方はサンドブロックでも代用できます。
削る方向は鉋に対して垂直に削る
ノミもしくはサンドブロックで削る際に削る方向ですが、鉋に対して垂直方向に削っていきます。
写真のように横に削っていきます。
なるべく均等に削るように心掛けて削っていきましょう。
削る深さは定規を当てて光が通るぐらい
削る量は定規を当てて光がとおるぐらいでいいので、余りはっきり分かるぐらい削る必要はありません。
ただ、DIYで使用するために最初は慣れずにてこずると思います。
そんな時は少し多めに削っても大丈夫です。
少しぐらい多めに削るぐらいならそれほど悪影響もなく削ることができます。
それよりも削りがあまく残ってしまう方が刃が材料に当たらない原因になってしまうので、削り残しは無いようににします。
ノミで削る場合
ノミで削る場合はノミの刃を立てるようにして台を削ります。
ようは台直し鉋と同じように使うのです。
台直し鉋も刃は通常の鉋と違い、まっすぐ刃が立っており薄く材料を切るというよりはガリガリ削るように台を削ります。
ノミもこれと同じように刃を立ててガリガリ削るように調整をしていきます。
そして、この時のノミの場合なるべく一定の力で同じ刃の向きで初心のように削っていきます。
力加減がいい加減だと台が斜めに削れてしまったりするので気を付けてください。
定規でこまめに確認して上手く削れているか見るようにしましょう。
またこのノミで削る工程が最後ではありません。
ノミである程度削ったら最後にサンドペーパーで全体を整えるように仕上げで削るので少し荒くても問題はありません。
ノミの代わりにサンドブロックで削る場合
ノミがない場合はサンドブロックで削ります。
この時最初は粗目のヤスリを張り付けたサンドブロックで削ります。
粗目とは100番か120番がいいでしょう。
180番以上の細かいものは削るのに時間が掛かってしまい効率が良くありません。
サンドブロックも同じようにサンドブロックをスライドして削ります。
そしてサンドブロックの注意点ですが、どうしても台の両脇が多く削れてしまい真ん中が残りがちになってしまうのでこまめに確認をして台の中側が残らないように注意をします。
仮に刃が出てくる場所で真ん中が残ってしまうので、まっすぐ研いだ刃だと真ん中は台が残っているので刃が出てこないで、両脇のみ刃が出てきて真ん中が削れないようになってしまいます。
刃口こそ刃だけでなく台の平らに削れる必要があります。
鉋台の調整の仕方 4.全体をサンドブロックで仕上げる
ノミもしくは粗目のサンドブロックである程度台下端を調整できたら、最後に180番か240番ぐらいのサンドブロックで全体を仕上げていきましょう。
仕上げていく中で、せっかく調整した台下端を平らにしたりしてはいけません。
イメージとしては、ノミや、荒めのサンドブロックで調整した時の細かい凹凸や、削り残しや、全体の台の正面を整える感じで仕上げるといいでしょう。
台尻の角を削って部材にぶつかって凹むのを防ごう
ここまで鉋台の下端の調整方法を解説してきましたが、最後にDIYで鉋を使用するためにやっておくと非常に良い一工夫をお伝えします。
それは『台尻の角を削っておく』ということです。
どういうことかというと写真で説明すると、
ここは購入した時最初台尻は面が取られてなく直角になっています。
ここをヤスリなどでいいので、軽く角を削っておくのです。
こうすることで何がいいかというと、鉋掛けしているときに材料をぶつけてへこんだり傷つけたりすることを防いでくれます。
実際の例でご説明すると、上の写真のように組み合わせたものを鉋掛けする際に矢印側に鉋を掛けるとL字の下側の材料に当たります。
この時少しでも鉋の台尻が材料より下がっているとガツっと材料をへこましてしまいます。
なので、台尻を削っておくと、多少ならぶつかっても鉋が材料を乗り上げてへこませることなく防ぐことができるのです。
しかし、この台尻を削るのはプロの職人の中ではご法度となっています。
なぜだかというと、台尻を削ってしまうと鉋掛けをするときに木くずや鉋屑を巻き込んで削ってしまい上手く鉋掛けができなくなってしまうからです。
しかし、DIYではそれほどの技術があるわけでもなく、むしろ木くずがあれば手で払えばいい話です。
そんなことよりせっかく自分で作った作品をへこましたりしてしまう方が問題です。
とういうことでここはプロの真似をせず台尻の角を削ってしまいましょう。
┗無垢フローリングやDIY中に発生した木材のへこみをアイロンできれいに直す方法
鉋台の下端を調整をする方法:まとめ
今回は鉋台の下端の調整方法を解説しました。
覚えてもらうポイントはこの3点でした。
- 鉋台下端の削る場所、削らない場所を覚える。
- 台下端の削り方を覚える
- 台下端の状態を確認する定規を当てて見る方法を覚える
削らず材料に当たる部分は刃口と台尻の2点の位置でそれ以外は削るということでした。
削り方はノミ、もしくはサンドブロックで横に削っていきます。
削った状態を確認するには直尺などの定規を当てて光を通して確認をするということでした。
今回の記事を参考にしてDIYで鉋を使用できるようにするため、上の3点を是非マスターしていただければと思います。
下の記事も鉋を使うためには絶対に覚えて欲しい内容となっていますので是非合わせて読んでいただきたいです。
鉋の基本的な使い方に関しての記事
┗DIY初心者でも分かる鉋の基本知識と使い方
鉋の刃の研ぎ方の記事
┗コツされ理解すれば意外と簡単 鉋の刃の研ぎ方を解説