こんにちは、元現場監督のなおっぺ@naoppemanです。
新居の計画をしていくと、専門的な知識や経験というのはどうしても担当の営業や設計さんにお任せするしかないと思います。
でも、そこには担当者への信頼がないと打ち合わせや工事が開始すると不安が出てきます。
そこで、住宅に関しての専門知識がない方へ気をつけてもらいたい間取りのポイントを解説していきます。
そこで今回の内容は、「埋め込み収納の設置位置に関して」です。
埋め込み収納とは、壁の中に埋め込むように設置される収納のことを言います。
埋め込むことで狭い空間などでも収納力を増やすことができる便利な収納になります。
しかし、反対に設置の仕方を一歩間違えば、断熱性や遮音性、耐火性などを性能を低くさせてしまいます。
そこで、この記事では埋め込み収納の注意点を3つに分け、また埋め込み収納の正しいの設置位置などを解説していきます。
新居を購入する予定または今計画中の方はぜひ参考にしてみてください。
埋め込み収納とはどんな収納?
埋め込み収納とは壁の中に埋め込むように収納することです。
上の写真の商品は永大産業のリビングステージという商品です。
木造軸組工法用で軸組工法の場合壁の中にある柱が105mmなのでこの105mm壁を生かして収納を作るわけですが、リビングステージは奥行きが132.5mmなのでハンドタオルなどは畳んでしまえるし、日用品の収納にも使用できます。
この永大産業のリビングステージなどのシステム収納以外には大工に作ってもらったりと工事で作る飾り棚などのニッチなども埋め込み収納の1つとなります。
ニッチ(飾り棚)も埋め込み収納のひとつ
こちらのニッチは我が家の洗面所になります。
壁の中というデッドスペースを利用して洗面所で使用するものが置けるようになっています。
このようにニッチ等の飾り棚も埋め込み収納と同じ壁の中を上手く生かした手法になります。
壁の中の空間を生かして収納だけでなく小物を置くスペースなどオシャレにすることができたりと壁の中を利用することでいろんなことができます。
洗面所に関して詳しくは下の記事を見てみてください。
埋め込み収納の注意点1:断熱性を下げてしまう
ではここからは埋め込み収納の注意点を解説していきます。
まずは断熱性に関してです。
埋め込み収納で断熱性を低下させるのは、外壁面に埋め込み収納を設置しようとすることです。
外壁はもちろん外部と面している壁なので断熱性が住宅の快適性を左右する重要な壁となります。
なので外壁にはグラスウールや発泡ウレタンなどの断熱材を施工します。
そして木造住宅の軸組工法でお話ししますが、柱というのは昔から一般的に3寸5分になります。
つまりmm単位で柱の太さは105mmとなっています。
なので一般的に外壁に設置する壁断熱は柱と同じ厚さの105mmが主流となっています。
ようは約10㎝の厚さの断熱材が入っているということです。
つまり、柱と断熱材は同じ厚さということは、埋め込んで収納を作るスペースが外壁にはあるわけがないので。
どうしても設置をしようとすると、断熱材を薄くするか、そこだけ違う断熱材を入れるなどの方法が選ばれます。
しかし、部分的にこのように断熱性の低い断熱材を使用して熱の通り道ができてしまうのはお家全体としての断熱性だけでなく結露などの原因になり大きく悪影響が出てしまいます。
このようなことから、基本的に外壁面に埋め込む収納などは設置してはいけないのです。
埋め込み収納の注意点2:遮音性を下げてしまう
次に遮音性に関してです。
遮音性とは、どれだけ音の伝達を遮断することができるかの性能のことを言います。
ようは音を伝わらないようにできるかです。
一般的な考えから厚い壁と薄い壁ならどちらが音を遮断できると思いますか?
これは当然厚い壁の方が遮音性は高くなります。
なので、埋め込み収納にすると壁が薄くなり遮音性が低くなってしまうということです。
では、実際によろしくない間取りがトイレでの埋め込み収納です。
トイレは一般的にそれほど大きなスペースを設けないことが多いので収納を壁への埋め込み収納にする場合が多いです。
しかし、この埋め込み収納にすると埋め込み収納を設置した面の壁が薄くなり音を通しやすくしてしまいます。
これが、トイレの隣が廊下などならまだいいですが、寝室だったとしましょう。
埋め込み収納から通る音で寝室にいる人にトイレの音が伝わりやすくなってしまいます。
なので、埋め込み収納は壁が薄くなって音が伝わりやすくなってしまうので注意が必要ということになります。
埋め込み収納の注意点3:耐火性を下げてしまう
埋め込み収納の注意点の最後は耐火性に関してです。
耐火性に関しては施工方法にもよりますが、通常室内の壁なら、両方から石膏ボードが張られています。
しかし、埋め込み収納をなるべく大きくとりたいという理由で、埋め込む側の石膏ボードを張らない場合があります。
そうなると片側しか石膏ボードがないので耐火性が下がってしまいます。
都内などの耐火性を上げなければいけない地域は埋め込み収納を設置する場合埋め込み収納を石膏ボードで囲まないといけないなどという決まりもあるほどです。
なので、一般の耐火性でもなるべく耐火性が高い方がいいと思いますので、埋め込み収納は少し気を付けなければいけません。
また、断熱性でも話した埋め込み収納を外壁に設置する場合は必ず埋め込み収納を石膏ボードで囲わないと耐火性が取れていないお家になります。
基本的に住宅は石膏ボードなどで欠損なく覆わなければならないので埋め込み収納などで火の通り道を作ってはいけないのです。
最適な埋め込み収納の位置
ここまで、埋め込み収納に関しての注意点を3点あげました。
では一体埋め込み収納はどこに設置するのが良いかという話ですが、それはズバリ袖壁が一番オススメです。
外壁でもなく部屋を区切る壁でもない部屋の中にある袖となる壁です。
それ以外は部屋を区切る内壁ならいいかと思います。
ただし内壁の場合、廊下や玄関など音を気にしないような空間ほど良いといえます。
反対に寝室など音が伝わってほしくない部屋に面する壁への埋め込み収納は注意です。
そして、トイレなど特に音を伝えたくない空間こそ埋め込み収納の設置位置は注意が必要になります。
埋め込み収納の正しい位置を図面で解説
では更に分かりやすく説明するためにここからは図面で解説します。
こちらは我が家の玄関周りの図面です。
この図面で言うと玄関収納と物入収納の間にある壁や玄関から引き戸を開けてすぐにある壁が袖壁になります。
青で囲まれている壁が袖壁ということです。
このような袖壁なら埋め込み収納を設置しても同じ部屋内なので断熱性や遮音性を気にする必要はありません。
次に内壁ですが、玄関で言うとニッチがある壁や、後ろがリビングに当たる壁が内壁になります。
緑で囲まれている壁が内壁となります。
我が家の玄関の場合、ニッチが設置されている内壁に埋め込み収納を設置しても壁の裏は廊下なので、ここにニッチを設置したというわけです。
話をまとめると、埋め込み収納の設置位置は、
外壁はだめ。理由は壁が薄くなることで耐火性や断熱性が低下するため。
そして、寝室などの音が伝わってほしくない部屋の壁もだめ。
私が思う埋め込み収納を設置してもいい場所は、部屋の中にある袖壁です。
もしくは埋め込み収納を設置する裏が廊下や玄関、物入れなど音が伝わっても支障がない内壁なら良いと考えていいでしょう。
埋め込み収納の注意点:まとめ
埋め込み収納は壁の中というデットスペースを利用するのでトイレや洗面所などの狭い空間の部屋で便利な収納の方法となります。
しかし、壁に埋め込むことはデメリットもあり、断熱性、遮音性、耐火性の性能が低下する可能性があるということを覚えておきましょう。
例えば、埋め込むことで断熱材が薄くなることによる断熱性の低下。
壁が薄くなることによる遮音性の低下。
収納をつける際に石膏ボードを貼らなくなることによる耐火性の低下などがあります。
- 外壁にはなるべく設置しない
- 寝室など音が気になってしまう壁には設置しない
- トイレに埋め込み収納を設置する場合は収納裏の部屋を特に注意すること
- 廊下や物置など壁の裏を気にする必要がない場所に設置する
- 部屋の中にある袖壁に設置する
もしこれから新居の計画を始める方はこの4点を覚えて埋め込み収納の設置位置を考えていただければいいかと思います。
設計士の中にはこのポイントを気にせず埋め込み収納を設置しようとする方もいます。なので、このような確認は御自身で確認をできた方が良い家づくりはできると思います。
正しくふさわしい位置を考えて埋め込み収納を新居に取り入れていてください。